看護師×副業

公務員の副業は2026年にどう変わる?おすすめ10選と注意点を解説

「公務員は副業禁止」と思い込んでいる方は多いかもしれません。しかし、2026年の制度改正で副業を取り巻く環境は大きく変わっています。制度を正しく理解すれば、安全に副業を始めることは十分可能です。

この記事では、公立病院で公務員として働いた経験を持つナースの筆者が、制度改正の全体像からおすすめ副業10選、確定申告の注意点まで解説します。

最後まで読んで、ぜひ副業の第一歩に役立ててください。

公務員の副業は2026年4月にどう変わる?制度改正の全体像

2026年4月、国家公務員の副業に関する制度が大きく見直されました。長らく「原則禁止」とされてきた公務員の副業がどう変わったのか。新制度の要点と、見落としがちな注意点を確認していきましょう。

国家公務員の自営兼業に新たな承認基準が設けられた

2026年4月から、国家公務員が個人で行う自営兼業に新たな承認基準が導入されました。これまでは不動産賃貸や家業の手伝いなど、認められる兼業はごく限られた範囲にとどまっていたのが実態です。

改正により、たとえば以下のような活動が認められる可能性が広がっています。

  • 手芸品やハンドメイド作品の販売
  • スポーツ教室や語学教室の開業
  • 執筆活動や講演

背景には、人口減少による人材確保の難しさや、職員のスキルを社会に還元する必要性があります。従来の限定的な許可範囲から一歩踏み出した、公務員の働き方における大きな転換点と言えます。

「全面解禁」ではなく許可制の枠組みが拡大した

今回の制度改正は「全面解禁」ではありません。副業を認める範囲は広がったものの、任命権者の許可を得るという基本的な枠組みは変わっていません。

許可の判断基準となるのは、主に次の4点です。

  • 公務に支障がないか
  • 職務との利害関係がないか
  • 公益性・社会的妥当性があるか
  • 報酬の水準が適正か

たとえば、コンビニでのアルバイトや営利目的のYouTube活動は、これらの基準を満たしにくいです。

「解禁された」という言葉だけを見て、何でもできると考えるのは危険です。制度改正後も、副業を始める際は所属先の許可を得ることが大前提となります。

本当にまだ始まったばかり!

公務員の副業はなぜ禁止?法律上の3つの理由

2026年4月に制度が見直されたとはいえ、公務員の副業が完全に自由化されたわけではありません。

制限が続く背景には、公務員が守るべき3つの法的義務が関係しています。それぞれ具体的に見ていきましょう。

職務専念義務に反するおそれがあるため

公務員には、勤務時間中に職務へ全力を注ぐ「職務専念義務」が課されています(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)。副業による疲労や注意力の低下が本業に影響を及ぼすことが、この義務に抵触するおそれがあるためです。

たとえば、副業で夜遅くまで作業した結果、翌日の業務に集中できないケースが考えられます。勤務時間中に副業の連絡に対応してしまうことも、職務専念義務に反する行為です。

公務員は住民サービスを担う立場であり、その質が低下すれば住民全体に影響が及びます。副業を検討する際は、まずこの義務を満たせるかどうかが判断の出発点となります。

出典:国家公務員法第101条地方公務員法第35条

守秘義務に違反するおそれがあるため

公務員は、職務上知り得た秘密を外部に漏らしてはなりません(国家公務員法第100条、地方公務員法第34条)。この「守秘義務」に違反するおそれがあることも、副業が制限される大きな理由です。

副業の場面では、本業とは異なる人間関係のなかで活動することになります。その際、行政の内部情報をうっかり口にしてしまうリスクは否定できません。公務で得た専門知識を副業の利益に活用する行為も、守秘義務違反にあたります。

この義務は退職後も継続する点に注意が必要です。副業を行う際は、業務上の情報と副業の活動を明確に切り分けることが欠かせません。

公務員や看護師に限らず社会人として当然のルールだよね

出典:国家公務員法第100条地方公務員法第34条

信用失墜行為に該当するおそれがあるため

公務員には、その信用を傷つける行為が禁じられています(国家公務員法第99条、地方公務員法第33条)。これが「信用失墜行為の禁止」であり、副業制限の3つ目の根拠です。

公務員は「全体の奉仕者」として、公平・中立な立場が求められます。たとえば、マルチ商法に関与していることが知られれば、本人だけでなく所属組織全体の信用が傷つきかねません。職務と利害関係のある企業で副業することも、公平性への疑念を招きます。

副業の内容そのものだけでなく、住民の目にどう映るかまで意識することが大切です。

出典:国家公務員法第99条地方公務員法第33条

 公務員の副業はどこまでOK?新制度の承認基準を解説

副業が認められるかどうかは、「何をするか」だけでは決まりません。審査では活動の設計や公務との関係性が重視されます。承認の判断基準を具体的な数字とあわせて確認していきましょう。

承認の判断軸となる3つのポイント

新制度のもとで副業が承認されるかどうかは、次の3つの観点で判断されます。

  • 職務と兼業先に許認可・補助金・契約などの関係がないこと
  • 疲労や時間の拘束で本業に悪影響が出ないこと
  • 公務員の信用や中立性を損なう活動でないこと

この3点は事業計画書で具体的に示す必要があります。

「やりたい」という意欲だけでは審査を通過できません。取引先に利害関係者がいないことや、活動を週休日に限定する設計を明記するなど、「説明できる形」に落とし込む必要があります。

なんとなくではなく、しっかりと計画しましょう

 時間・収入に関する目安

副業に使える時間と収入の目安を整理します。

活動は原則として週休日に行い、休養も確保できる範囲が前提です。やむを得ず勤務日に行う場合は勤務時間外に限られ、以下が目安となります。

  • 週8時間以内(または月30時間以内)
  • 勤務日は1日3時間以内
  • 他の兼業がある場合は合算で管理

収入に全国一律の上限額はありません。ただし、仕事内容に見合わない高額報酬は「社会通念から逸脱している」と判断される可能性があります。

注意すべきは、年次休暇を取得して兼業を行うことは原則認められていない点です。副業はあくまで休日や勤務時間外で完結する設計が求められます。

承認されにくい活動の特徴

承認されにくい活動には共通する特徴があります。以下に該当する場合、不承認となる可能性が高いです。

  • 所属組織の業務に近く、職務上の知識を専ら活用するもの
  • 取引先に職務上の利害関係者が含まれるもの
  • せどり(転売)のように本人のスキルを活かさない営利活動
  • 社会通念からかけ離れた高額報酬を得るもの
  • 誹謗中傷や公序良俗に反する発信活動

ただし、職務で得た知識の活用が一律にNGとなるわけではありません。公正性の観点から審査が厳格になるため、所属先との丁寧な事前相談が欠かせないでしょう。該当する特徴がないか、冷静に確認することが大切です。

出典:人事院「自営兼業制度の見直しについて」(令和7年12月19日)https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2512/jieikengyo_00001.html

人事院「自営兼業についてのQ&A」https://www.jinji.go.jp/content/000013460.pdf

総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」(令和7年6月11日付け総行公第72号)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000242.html

公務員でもできるおすすめの副業10選

ここでは、公務員が許可を得て取り組める副業や、申請不要で始められる活動を10種類紹介します。2026年4月の制度改正で新たに加わったものも含めて、それぞれの特徴を確認していきます。

ハンドメイド販売

2026年4月の制度改正で、新たに承認の対象に加わった副業です。自分で制作したアクセサリーや雑貨などを、ハンドメイドマーケットやネットショップで販売する形態が想定されています。

承認の条件は「本人の技能を活かした制作・販売」であることです。既製品を仕入れてそのまま転売する「せどり」や、従業員に制作を任せきりにする形態は対象外とされています。

始める際は事業計画書を提出し、所属先の承認を得なければなりません。制作から販売まで自分のペースで進められるうえ、初期費用も抑えやすいため、取り組みやすい副業といえます。

講演・執筆活動

公務員の副業として以前から認められてきた代表的な活動です。自治体業務で培った専門知識や経験を、セミナーや書籍、ウェブメディアを通じて社会に還元できます。

講演1回あたりの報酬は内容や規模によって異なりますが、数千円〜数万円が一般的です。執筆活動も、雑誌への寄稿やブログ運営など形態はさまざまでしょう。

いずれの場合も、公務で知り得た秘密を漏らさないことが大前提です。また、組織の政策について個人的見解を発信する行為は、公正性の観点から問題視される可能性があります。内容の選定には十分注意しましょう。

不動産投資(5棟10室未満)

不動産投資は、公務員が以前から取り組める代表的な副収入源です。以下の範囲内であれば、原則として許可申請は不要とされています。

  • 独立家屋:5棟未満
  • アパート等の部屋:10室未満
  • 賃貸料収入:年額500万円未満
  • 駐車場:10台未満(月極)

ただし、管理業務を管理会社に委託していることが条件です。自ら入居者対応や修繕を行う形態は認められにくいです。

上記の基準を超える賃貸は「自営兼業」に該当し、承認申請が必要になります。相続で物件を引き継いだ場合も、規模の確認を忘れないようにしてください。

形態によって限度が決まってるよ

株式・FX・仮想通貨投資

株式やFX、仮想通貨(暗号資産)への投資は、資産運用の一環として原則許可不要で行えます。個人の財産管理の範囲内であり、営利企業の経営に参画するものではないと位置づけられているためです。

NISAやiDeCoを活用した積立投資も同様に認められています。勤務時間外に自宅で取引できるため、時間の制約が大きい公務員にとっては始めやすいものです。

ただし、職務上知り得た未公開情報を利用する「インサイダー取引」は金融商品取引法で厳しく禁じられています。勤務時間中にスマホで売買を行う行為も職務専念義務に反するため、取引のタイミングには注意が必要です。

小規模農業

小規模な農業は、公務員が以前から取り組める副業のひとつです。実家の田畑を手伝ったり、耕作放棄地で野菜を栽培したりする活動が該当します。地域課題の解決にもつながるため、許可が得られやすい傾向があります。

特に地方公務員の場合、家業として農業に携わるケースは少なくありません。休日を利用して作業し、収穫物を地元の直売所で販売する程度であれば問題になりにくいといえます。

ただし、農地を大幅に拡大して法人化する場合は「自営兼業」に該当し、承認が必要です。本業に支障のない規模を維持することが、長く続けるうえでのポイントになります。

家業の手伝い

実家が営む商店や事業の手伝いは、許可が得られやすい副業の典型例です。家業の存続は社会的にも理解が得られやすく、多くの自治体で承認されてきた実績があります。

報酬を受け取らず手伝う程度であれば、「兼業」に該当しないケースもあります。一方で、定期的に報酬を受け取る形であれば兼業許可の申請が必要になります。

注意したいのは、家業であっても自身の職務と利害関係がある場合は認められない点です。たとえば、自治体から補助金を受けている事業を手伝うケースは、利害関係の発生が疑われるおそれがあります。申請前に家業と職務の関係を整理しておく必要があります。

NPO・地域貢献活動

NPO活動や地域貢献活動は、公務員の副業として特に承認されやすい分野です。公務員が持つ専門スキルを地域社会に還元できるため、行政の立場からも推奨されています。

地域イベントの運営や高齢者の生活支援、子ども向け学習塾の講師などが良い例です。人事院の整理では、NPO法別表に基づく活動との関連性が重視されています。「保健・福祉の増進」「社会教育の推進」などに該当する活動は、特に承認を得やすいでしょう。

ただし、報酬を受け取る場合は兼業許可の申請が必要になります。「ボランティアだから不要」と思い込まず、所属先に確認しておきましょう。

太陽光発電投資

太陽光発電による売電は、2014年から公務員に認められてきた副業です。再生可能エネルギーの普及を後押しする国策の一環として、条件を満たせば許可不要で取り組めます。

具体的には、定格出力10kW未満の設備であれば原則として申請は不要です。10kW以上の場合は「自営兼業」に該当し、承認を得る必要があります。

いずれの場合も、設備のメンテナンスを専門業者に委託することが条件です。自ら点検・修繕を行う形は、本業への支障が懸念されるため認められない可能性があります。初期費用はかかるものの、一度設置すれば手間が少ない点が公務員向きといえます。

アンケートモニター・ポイ活

アンケートモニターやポイントサイトの利用は、少額のポイント獲得が中心の活動です。兼業に該当しないと判断されるケースが多く、スマホひとつで隙間時間に取り組めるため手軽に始められます。

ただし、「副業にあたらない」と明文化している自治体はまだ多くありません。収入が増えたり活動が継続的になったりすれば、兼業とみなされる可能性もあります。

また、勤務時間中にアンケートに回答する行為は職務専念義務に反します。あくまで勤務時間外に小遣い稼ぎの範囲で取り組むのが安全です。心配な場合は、所属先に事前確認しておくとよいでしょう。

フリマアプリでの不用品販売

自宅にある不用品をフリマアプリで販売する行為は、営利活動とはみなされないのが一般的です。使わなくなった家電や衣類、書籍などを処分する目的であれば、兼業許可を申請する必要はありません

メルカリやラクマなどで家の不用品を出品する程度であれば、副業というよりも私的な財産処分にあたります。許可申請も不要なため、最もハードルの低い選択肢といえるでしょう。

ただし、商品を仕入れて継続的に販売する「せどり(転売)」は性質がまったく異なります。本人のスキルを活かさない営利活動は承認対象外です。不用品の処分と転売の境界線を意識し、営利目的にならないよう注意しましょう。

公務員が許可を得にくい副業の具体例

制度改正で副業の選択肢は広がりましたが、すべてが認められるわけではありません。ここでは、引き続き許可が得にくい副業を5つの具体例とともに紹介します。

コンビニ・飲食店などのアルバイト

コンビニや飲食店でのアルバイトは、公務員にとって最も許可が得にくい副業です。他社に「雇用される」形態は、国家公務員法第103条が禁じる営利企業への従事に該当します。

2026年4月の制度改正で緩和されたのは「自営兼業」の範囲です。企業に雇用されるアルバイトはこの改正の対象外であり、引き続き原則として認められません。深夜勤務を伴えば翌日の業務に支障が出やすく、職務専念義務の面でも問題になるでしょう。

「手渡しならバレない」と考える方もいるかもしれません。しかし、住民税の変動や同僚の目撃から発覚するケースは珍しくなく、雇用型の副業はリスクが大きいです。

出典:国家公務員法第103条

営利目的のYouTuber・インフルエンサー

YouTubeやSNSで継続的に広告収入を得る活動は、自営兼業と判断される可能性があります。趣味で動画を投稿する程度なら問題になりにくいものの、収益化が明確な場合は事情が変わります

特にリスクが高いのはコンテンツの内容面です。誹謗中傷や公序良俗に反する発信は、信用失墜行為として懲戒処分の対象になり得ます。組織の肩書きを使った発信も認められません。

「顔出ししなければ大丈夫」と考えるのは危険です。過去の投稿から身元が特定されるリスクは常にあるでしょう。収益化を目指す場合は、所属先への事前相談が不可欠です。

せどり・転売ビジネス

商品を安く仕入れて、そのまま高く売って利益を得る「せどり(転売)」は承認対象外です。人事院のQ&Aでも、加工などの付加価値を付けずに転売する事業は承認の対象にならないと明記されています。

2026年4月の制度改正で認められたのは「本人の知識や技能を活かした事業」です。単純な転売は本人のスキルを活用していないため、この要件を満たしません。また、チケットや限定商品の買い占め・転売は社会問題にもなっており、信用失墜行為に該当するおそれもあるでしょう。

制度の枠内で承認される可能性は極めて低い分野です。副業に興味があるなら、自分のスキルを活かせる別の活動を検討することをおすすめします。

アフィリエイト・ブログ運営

ブログやウェブサイトに広告を掲載して収入を得る「アフィリエイト」も、許可が得にくい副業です。広告収入を継続的に得る仕組みは営利性が高く、自営兼業として承認が必要になります。

リスクが大きいのは記事の内容面です。特定の商品やサービスを推薦する行為は、公務員の中立性に疑問を持たれる原因になります。公務に関連するテーマを扱えば、守秘義務や公正性の観点からも問題視されかねません。誹謗中傷や公序良俗に反する内容が含まれれば、懲戒処分の対象にもなり得ます。

ただし、広告を掲載していない趣味ブログやSNSであれば、直ちに兼業とはみなされません。収益化を検討する段階で、必ず所属先に事前相談することが不可欠です。

クラウドソーシング(データ入力)

クラウドソーシングサイトを通じたデータ入力などの業務委託も、許可が得にくい副業です。特定のクライアントから継続的に報酬を受け取る場合、国家公務員法第104条が定める「兼業」に該当する可能性があります。

人事院のQ&Aでは、アプリ等に登録して定型的なサービスを提供するだけの形態は承認対象外とされています。データ入力のような定型作業は「本人の知識・技能を活かした事業」とはみなされにくく、2026年の制度改正でも承認が得にくい分野です。

副業として収入を得たいのであれば、自身の専門スキルを活かせる活動を選ぶほうが承認される可能性は高まるでしょう。単純作業よりも、自分ならではの価値を提供できる分野を検討してみてください。

まだまだ厳しいね

出典:国家公務員法第104条

人事院「自営兼業についてのQ&A」https://www.jinji.go.jp/content/000013460.pdf

地方公務員の副業解禁はいつから?自治体ごとの最新動向

地方公務員の副業は、自治体ごとに対応が異なるのが現状です。ただし、総務省の通知や国の制度改正を受けて、柔軟化の流れは確実に広がっています。最新の動きを確認しましょう。

総務省の通知により兼業の運用が柔軟化している

令和7年(2025年)6月、総務省は地方公務員の兼業に関する「技術的助言」を各自治体に通知しました。この通知は、従来の「原則禁止・例外的に容認」から「基準を満たせば積極的に認める」方向への転換を示すものです。

具体的には、地域課題の解決につながる兼業を円滑に許可できるよう、各自治体に独自の許可基準を策定することが求められています。さらに、営利企業の従業員として働く兼業についても、利害関係や職務への影響を個別に判断し認めることが可能だと明記されました。

この通知に法的拘束力はありません。しかし、国が「積極的に許可を検討すべき」と方向性を示したことで、自治体の判断に大きな影響を与えています。

出典:総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」(令和7年6月11日付け総行公第72号) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000242.html

副業解禁に取り組む自治体の先行事例

一部の自治体では、国の動きに先駆けて副業を認める独自制度を設けています。

自治体取り組み内容
兵庫県神戸市「地域貢献応援制度」を創設し、職員が市民の立場で地域課題に取り組むことを支援(2017年)
奈良県生駒市公益的活動に限定した副業許可基準を策定(2017年)
山形県新庄市職員がNPO理事長として商店街の活性化に従事

いずれも公益性や地域課題の解決を重視した制度設計が特徴です。

総務省の令和6年度調査では、地方公務員の兼業許可件数は全国で約4.1万件にのぼっています。許可基準を明文化する自治体も増えており、副業をめぐる環境は着実に整いつつあります。

まずは自分の自治体の基準を確認してみましょう。

国家公務員の制度改正が地方に波及する見通し

2026年4月の国家公務員の制度改正は、地方公務員にも影響を及ぼす見通しです。地方公務員の兼業は地方公務員法第38条に基づき、任命権者の許可制で運用されています。ただし、多くの自治体が国の基準を参考にしているのが実情です。

国の基準が緩和されれば、自治体の運用も連動して柔軟になる可能性が高いでしょう。すでに総務省通知を受けて、独自の許可基準を整備し始めた自治体もあります。

ただし、すべての自治体が同じペースで動くわけではありません。「国が変わったから自動的にOK」とは限らないため、副業を検討する際は所属先の最新基準を必ず確認してください。

公立病院勤務の看護師の方は、本記事の「【看護師向け】公立病院勤務の看護師はどの副業ができる?」もあわせてご確認ください。

地方も続け!

公務員が副業の許可申請を行う手順

副業を始めるには、正しい手順で許可を得ることが欠かせません。無許可で始めると懲戒処分のリスクがあるため、以下の4ステップを順番に進めていきましょう。

STEP1 所属先の兼業規程を確認する

まず確認すべきは、自分の所属先がどのような兼業規程を定めているかです。国家公務員と地方公務員では根拠となる法律が異なり、地方の場合は自治体ごとに許可基準も違います。

確認しておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 許可が必要な活動の範囲(どこからが「兼業」にあたるか)
  • 許可申請の窓口と提出先
  • 過去に許可された副業の事例や類型

自治体によっては、ウェブサイトや内部規程集で許可基準を公開しているところもあります。規程が見つからない場合は、人事担当部署に直接問い合わせるのが確実です。ここでの確認が不十分だと、後の申請がスムーズに進まない原因になります。

 STEP2 上司・人事担当者に事前相談する

規程を確認したら、正式な申請の前に上司や人事担当者へ相談しましょう。事前相談を通じて、自分が考えている副業が承認されそうかどうかを早い段階で見極められます。

相談の際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 副業の具体的な内容と目的
  • 予定している活動日・時間帯
  • 職務との利害関係の有無
  • 想定される収入の規模

これらを口頭で伝えるだけでも、「その方向なら問題なさそう」「ここは書類で補足が必要」といった具体的なフィードバックをもらえるでしょう。いきなり申請書を提出すると書き直しを求められるケースも少なくありません。「まず相談、それから申請」の流れを意識してください。

STEP3 開業届・事業計画書を準備する

自営兼業(自分で事業を営む副業)を行う場合、開業届と事業計画書の準備が必要になります。開業届は税務署に提出する書類で、個人事業の開始を届け出るためのものです。

事業計画書には、最低限以下の3項目を記載します。

  • 事業の目的および業務内容
  • 営業日および営業時間
  • 収入の予定年額

これに加えて、審査を通りやすくするためには以下の情報も記載するのが効果的です。

  • 職務との利害関係がないことの説明
  • 活動を週休日に限定するなどの時間設計
  • 組織の肩書きを使用しないなどの運用ルール

事業計画書に決まった書式はありません。ただし、承認の判断軸である「利害関係・職務への支障・公正性」を意識して書くと、スムーズな承認につながります。

STEP4 兼業許可申請書を作成・提出する

事前相談と書類準備が整ったら、兼業許可申請書を作成して所属先に提出します。国家公務員は所轄庁の長等に、地方公務員は任命権者に提出するのが一般的です。

申請書には副業の内容・時間・報酬のほか、事業計画書と整合性のある記載が求められます。提出後は審査を経て、承認・不承認の判断が下されることになります。

承認された場合も、以下の点に注意が必要です。

  • 承認の有効期間は最長2年(国家公務員の場合)
  • 事業内容を変更する際は事前に再承認が必要
  • 収入が大幅に変動した場合も報告が求められる

「一度承認されれば終わり」ではなく、継続的にルールを守ることが求められる制度です。

確認事項多くて大変だけど、がんばろう!

出典:人事院「自営兼業についてのQ&A」  https://www.jinji.go.jp/content/000013460.pdf

内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について(概要)」  https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/kengyou_gaiyou.pdf

公務員の副業はバレる?発覚する主な原因

「バレなければ大丈夫」と考えて無許可で副業を始めるのは、非常にリスクが高い行為です。ここでは、副業が職場に発覚する代表的な3つの原因を解説します。

住民税の増加で職場に通知される

無許可の副業が発覚する最も多い原因のひとつが、住民税の変動です。住民税は前年の所得をもとに計算され、原則として勤務先の給与から天引き(特別徴収)される仕組みになっています。

副業で収入が増えると、住民税の額も連動して上がります。この増額分が本業の給与だけでは説明がつかない場合、経理担当者が気づくきっかけになるでしょう。

「確定申告で普通徴収(自分で納付)を選べばバレない」という情報を見かけることがあるかもしれません。しかし、自治体によっては普通徴収に対応していなかったり、住民税を特別徴収に一本化していたりするケースもあります。住民税の仕組みだけで発覚を防ぐのは、現実的ではないと考えておきましょう。

SNSや知人の口コミから発覚する

住民税以外で多いのが、SNSや人間関係を通じた発覚です。匿名アカウントであっても、投稿内容や過去の発言の蓄積から身元が特定される事例は実際に起きています。

たとえば、副業の成果をSNSに投稿したことがきっかけで、同僚に気づかれるケースがあります。「信頼できる人にだけ話した」つもりでも、口コミは想像以上に広がるものです。数人に話しただけで上司の耳に届くことは珍しくありません。

副業の活動内容を自ら発信する行為は、発覚リスクを自分で高めているのと同じです。公務員は地域住民の目にも触れやすい立場にあります。SNSの利用や周囲への話題には、許可を得ている場合であっても細心の注意を払いましょう。

手渡しで受け取っても税務調査で判明する

「報酬を手渡しで受け取れば記録が残らない」と考える方もいるかもしれません。しかし、これは大きな誤解です

報酬を支払った側には必ず記録が残ります。一定額以上の報酬を支払った場合、支払者は「支払調書」を税務署に提出する義務があるためです。支払調書とは、誰にいくら報酬を支払ったかを税務署に報告する書類のことです。

つまり、受け取る側が銀行振込を避けても、支払者の記録から副業収入は税務署に把握されます。確定申告をしていなければ税務署から問い合わせが届く可能性があります。そこから所属先に連絡が及ぶリスクも否定できません。「手渡し=安全」という思い込みは捨てて、正規の手続きを踏むことが自分を守る最善策です。

公務員が無許可で副業した場合の処分内容

副業のルールを守らなかった場合、どのような処分が待っているのでしょうか。「知らなかった」では済まされないリスクを、具体的に確認しておきましょう。

懲戒処分(戒告・減給・停職)を受ける

無許可で副業を行った場合、服務規律違反として懲戒処分の対象です。懲戒処分には以下の4段階があります。

 戒告:文書または口頭で注意を受ける

 減給:一定期間、給与が減額される

 停職:最長1年間、職務に就けない(給与なし)

 免職:公務員の職を失う

処分の重さは副業の内容や悪質性によって判断されます。勤務時間中の副業や利害関係企業での勤務は、特に重い処分につながりやすいでしょう。

さらに、国家公務員の場合は刑事罰が科されるおそれもあります。承認を得ずに事業内容を変更すれば、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。手続きを軽視するリスクの大きさを認識しておきましょう。

承認の取り消しや人事評価に影響する

正式に承認を得た副業であっても、ルールを逸脱すれば承認が取り消されることがあります。注意すべきケースは以下のとおりです。

  • 承認された活動時間や内容を超えて活動した場合
  • 収入が当初の見込みから大幅に変動した場合
  • 異動で職務と副業先の間に利害関係が生じた場合

承認の取り消しは、それだけにとどまりません。服務義務違反の事実は人事記録に残り、昇進や異動の際の評価に影響する可能性があります。一度の違反が長期にわたってキャリアに影を落とすケースも考えられるでしょう。

副業は「承認されたら終わり」ではなく、ルールを守り続けて変更があれば速やかに再申請する姿勢が欠かせません。

出典:人事院「自営兼業についてのQ&A」  https://www.jinji.go.jp/content/000013460.pdf

総務省「懲戒処分について」  https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/komuin_taishoku/pdf/080222_1_si7.pdf

公務員の副業収入にかかる確定申告の注意点

副業で収入を得たら、税金の手続きも避けて通れません。特に公務員は手続きの不備がトラブルの原因になりやすいため、確定申告と住民税のポイントを押さえておきましょう。

副業収入が20万円以下でも住民税の申告は必要になる

 「副業の所得が年間20万円以下なら申告不要」という話はよく聞きます。しかし、これは所得税の確定申告に限った話です。

住民税については、副業の所得が20万円以下であっても申告が必要になります。所得税は国(税務署)、住民税は自治体(市区町村)が管轄しており、それぞれ別の手続きだからです。

確定申告を行えば住民税の情報も自動的に自治体へ連携されるため、別途の申告は不要になります。しかし、確定申告をしない場合は住民税だけ別途申告しなければなりません。

申告先は自分が住んでいる市区町村の役所です。手続きを怠ると延滞金が発生するおそれもあるため、少額の副業収入であっても住民税の申告は忘れずに行ってください。

副業収入が少額でも油断しないでね

住民税を「普通徴収」に切り替えて職場通知を防ぐ

許可を得て副業をしている場合でも、副業収入による住民税の増加を職場に知られたくない方もいるでしょう。そのような場合は、確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付」(普通徴収)を選択する方法があります。

普通徴収を選ぶと、副業分の住民税は自宅に届く納付書で自分で支払う形になります。本業の給与から天引きされる額に変動がないため、経理担当者に副業収入を察知されにくくなるでしょう。

ただし、すべての自治体が普通徴収に対応しているわけではありません。住民税を特別徴収に一本化している自治体では、この方法が使えないケースもあります。副業を始める前に、自分の自治体が普通徴収に対応しているか役所に確認しておくと安心です。

収入と経費の記録を正確に管理する

副業の確定申告をスムーズに行うためには、日頃から収入と経費の記録を正確につけておくことが大切です。申告時期にまとめて整理しようとすると、レシートの紛失や記憶違いが起きやすくなります。

記録すべき項目は主に以下のとおりです。

収入:報酬の金額・支払日・支払元

経費:材料費・通信費・交通費などの支出とその用途

証拠書類:領収書・レシート・銀行の取引明細

これらを月ごとに整理しておけば、確定申告の作業は格段に楽になるでしょう。会計ソフトやスマホのアプリを使えば、日々の記録を自動化することもできます。税務処理の不備は副業とは別のトラブルを招きかねないため、記録管理は手を抜かないようにしてください。

【看護師向け】公立病院勤務の看護師はどの副業ができる?

公立病院や保健所に勤務する看護師も、法律上は地方公務員に該当します。ここまで解説してきた公務員の副業ルールは、そのまま自分にも当てはまるということです。では、看護師に人気の副業は公務員ルールのもとでどこまで認められるのでしょうか。

雇用型の看護バイトは原則すべて不可

夜勤専従バイト・検診ナース・イベントナース・訪問ナース・クリニックのバイトなど、看護師に人気の副業の多くは「他の医療機関や派遣会社に雇用される」形態です。

2026年4月の制度改正で緩和されたのは「自営兼業」の範囲であり、雇用型のアルバイトは対象外です。つまり、看護師資格を活かしたバイト系の副業は、公務員である限り原則として認められません。

民間病院であれば就業規則次第で可能な副業も、公立病院勤務では選択肢から外れてしまう点は理解しておく必要があります。

公務員の看護師でも可能性がある副業4選

雇用型が使えない公務員の看護師でも、「自分の名前で、自分のスキルを使って提供する」自営型の副業であれば承認される可能性があります。

副業承認の見込み                       ポイント
オンライン講座の講師   講演活動に近く最も承認されやすい。看護学生向けの指導や後輩ナース向けの勉強会など、看護の専門知識を直接活かせる
医療系Webライター△〜〇執筆活動として自営兼業の承認対象になり得る。患者情報や院内の内部情報を扱わないよう守秘義務への配慮が必須
ハンドメイド販売2026年改正で承認対象に。看護とは無関係でも、本人の技能を活かした制作・販売であれば認められる
オンライン健康相談自営形態なら可能性はあるが、本業の職務と内容が重なりやすく審査は厳しめ。プラットフォーム登録型は承認対象外の可能性もある

いずれも承認申請が必要です。「公務員だから何もできない」と諦める必要はありませんが、始める前に必ず所属先の人事担当もしくは上司に相談してください。

ナースが足りない!というなら、こういう所を緩和したらいいのにね

看護師の副業全般については、

「看護師の副業おすすめ19選|看護師以外の仕事や在宅でできる仕事も紹介」で詳しく解説しています。

民間病院勤務の方はそちらもあわせてご覧ください。

まとめ|公務員の副業は2026年の制度改正を正しく理解して始めよう

2026年4月の制度改正により、国家公務員の自営兼業に新たな承認基準が設けられました。ハンドメイド販売やオンライン講座など、これまで認められなかった分野にも道が開かれています。ただし「全面解禁」ではなく、許可制の枠組みが拡大した形です。

副業の承認は「利害関係の不在」「職務への支障なし」「公正性の確保」の3つの軸で判断されます。公立病院勤務の看護師など雇用型の副業が制限される方は、自営型の活動を選ぶことがポイントです。

まず所属先の兼業規程を確認し、上司や人事担当への事前相談から始めましょう。確定申告や住民税の対応も含めて、計画的に準備を進めてみてくださいね。

-看護師×副業